テーマ:完全なもの
幸せ。寄り添い愛を与え続けていたこと
そんなのは遠い過去―
今は私の記憶の中だけにあるもの
誰かに愛を与え続ける幸せ、"愛すこと"を失くしてしまうことは悲しくて痛い。
誰もいないゆえに不幸せであるなら、私の悲しみは永遠に消えることはない―
夢。不完全であるはずの絆
離れても繋がりは強く感じていた―
ひとりになりたくてなったわけじゃないのに…
不完全であるがゆえに引きあい惹かれあう力は、不完全なものたちであるがゆえに繋がりは弱くて脆かった―
ゆえに、"完全に不完全"であると同時に夢の力が膨らんで弾けてしまった。
…きっかけは夢の力が失われたときだった。
私は"完全なもの"になっていた。
私はもう"ひと"ではなかった。
でもこんなのは私が望んだことじゃなかった…
私に残されたのは幸せな記憶だけで、私に出来ることは記憶の中の世界たちを愛すことだけだった。
記憶の中の世界たちは愛を喜んでくれた。
- 永遠の悲しみは遠い過去へ、繋がりは幸せな記憶の中へ -
私の中で私自身と繋がることは、その"孤独の夢"を強くしていた。
"完全に不完全なもの"は孤独と引き換えに、永遠の夢と無限の愛を手に入れていた―
―世界は最初は完全だったのかもしれなかった。
私が生まれたことで不完全になったのかもしれなかった。
それなら今の私は、私が生まれる前の世界と同じ。私が憧れていた世界なのかもしれない…
もしかしたら私は私が望んだ結果、"今の私"になったのかもしれなかった。
世界が孤独で悲しかったから、私は生まれたのかもしれない。
完全な私はそう思って、"世界"を作った。
その一欠片が幸せであるように、祈るように夢幻の愛を与え続けた―
………。
―完全な世界は作られていた―
終わりのない矛盾を繰り返して…
いつか世界が言ってくれた"ひとつに溶けあう約束"を夢みて
(おわり)